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知的財産権を侵害されたとして訴訟になったケースで高額保証になった例




<下記インタビュー内容>
まず、日本の場合は、特許、実用新案、意匠、商標、著作権まで含めて、侵害事件でそんなに高額になったケースというのは、正直言ってないと思います。それでも、日本の特許権侵害事件で最も金額の高い賠償額が出たのが、たぶんサミーさんとアルゼさんが争って行われた特許権侵害訴訟、あれが東京地裁のレベルで六十何億という数字が出ていたと思います。ただ、これが高裁段階に上がって、確か特許権が無効になってしまったので、実際にその金額が権利行使として実行されたかどうか、これは不明ですけれども、たぶん実行されていないのではないかと思います。額としては、そのへんが最高額ではないかと思います。
 ここは、実を言いますと、この問題に関しては非常に深い問題がございまして。一方、アメリカはどうかというと、アメリカの場合はさらに高額な賠償額、何億ドル、3億ドル、10億ドル、こういった賠償額が当然あります。なぜこれが日本とアメリカで違うかと言いますと、アメリカの場合にはいわゆる故意侵害、故意で他人の特許権を侵害したということの立証がもし可能であると、立証されますと、いわゆる3倍賠償制度というものがございます。立証されたとしたら、賠償金額が3倍課されるという、こういった、いわゆる"willful infringement"の制度がございますので、これが適用されることによって、非常に高額な賠償額が出てくるということになります。なぜそんな3倍賠償などという制度を設けているのか。ここがやはりアメリカの知的財産政策と日本の政策の大きく違うところでございまして。アメリカの場合は、プロパテント、特許をなるべく保護しよう、なるべく権利者を厚く保護しようという政策が一貫しております。これはもともとレーガン大統領の頃、1989年の頃から一貫してアメリカがそのプロパテントの政策をとってまいりまして、これからアメリカは知的財産の開発で世界をリードしていくんだということを、国自ら宣言してとってきた制度がこの結果をもたらしているわけです。したがって、なるべく権利者を保護しよう、権利の保護を厚くしようと、そうすることによって次から次へと発明を増進させて、次から次へと発明家が生まれ、いい発明をしていく、それによって今のアメリカの経済をさらに強くしていく。これがやはり今のアメリカの知的財産制度を非常に強固に築いたその原因だろうと思います。
 翻って日本はどうかと言いますと、残念ながら、私自身が担当させていただいたケースの中で最高額というのは1億弱なんです。これは東京高裁で特許権の侵害と契約違反の事件で獲得した最高額、確か9800万円くらいだったと思います。これが最高額になります。その後の私のほうでも担当した案件、先ほどの案件は原告側でございまして、原告はフランスの個人発明家で、被告は日本の中堅のゼネコンです。そんな関係だったんですけれども、それ以後の、私自身が担当した侵害事件では、それよりもはるかに低い賠償額しか出ておりません。ここはやはり、日本の場合には、残念ながら、政府がアメリカほどの政策的なプロパテントを、日本は口ではプロパテントとは称しているのですけれども、アメリカほど思い切ったようなプロパテントの政策には動いておりません。たぶん、そのへんが一番大きい原因だろうと思います。
 それから、いわゆる損害賠償の計算の仕方に関しても、アメリカとは相当違いますので、そういった、ある意味で突出したダメージといいますか、賠償額を設けないというところが、日本の制度のいいところであり、また、これで特許権侵害事件を仮に原告側で起こしても、そんなに賠償額は取れないのではないかと、そういうことを権利者に思わせてしまって、特許権侵害事件訴訟の件数がそんなに多くないという現状をもたらしている一つの原因でもございます。

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