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特許訴訟

日本の中規模企業で珍しいEP異議事件に巻き込まれた事案


日本のある中規模の化学メーカーは特殊な化学物質を発明し、日本で多くの発明賞を受け、日本及び海外の多数の国で特許を取得しておりました。
この技術に関しては中国もそれなりの技術を保有しており、コンペティターが中国におり、欧州等へ類似品(侵害品)を輸出しておりました。
その後、EP(欧州特許庁)特許が成立した後に、欧州の上記の中国製品を販売している大企業から異議申立がありました。問題はその証拠です。
多くの証拠は中国から出てきた「公知である」旨を証明する宣誓供述書でした。
例えば、「この化学物質は香港の博覧会に出品されているのを見た」という証言記録に香港の行政庁の担当主管の捺印がある、というような証拠です。
この種類の証拠が20件以上もEPOの異議部宛に提出されました。

当初、このような証拠の副本を入手した際に、非常に困惑したものですが、多分、EPOの異議部の方がもっと困惑していたものと思います。
しかも、これらの証拠が五月雨式に追加、追加で続々と提出されてきました。EP異議ではほとんどの案件で口頭審理が行われます。
本件も口頭審理が行われることとなったため、権利者である会社の部長さんと共に、EP弁理士及び弁護士と共に1週間前からデュッセルドルフで「合宿」を行い、口頭審理に備えました。

当日は、ミュンヘンにあるEPOの建物の中の審判廷で朝10時に開始となり、昼食を挟んで午後4時まで行われました。
4時に一時、閉廷した後、5時に審決が言い渡され、幸運にも当方は補正によるクレームの減縮なしで勝つことができました。

EPOの審判の合議体は3人で構成されますが、上記のような証拠では、証明事実との間での立証の合理性がない、として全ての証拠能力が認められなかったため異議は却下となりました。
本件のような案件はEPO始まって依頼の案件であった模様でEPOでは一時期有名な事件とのことでした。

本事件の教訓は、中国では、上記のような種類の「証拠」が行政庁の役人の捺印を持って簡単に成立する、ということ、及び、異議が提起され対応が長期化するに及び、即ち、紛争事件が長期化するに従って、ネガティブな思考が生まれがちになり、「勝てないのではないか」というような観点からの議論がなされる場面がありました。
最終的には、EPOは公正な判断を行ってくれ、杞憂に終わりましたが、どのような場面であれ、常に、ポジティブな発想で対応することの大切さを学びました。



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